カーボンのいいところはなんといっても、軽い!というところにある。
特に鳥人間コンテストに出場するような主翼の細長い(アスペクト比の大きい)機体では、
カーボンを主翼の桁に用いるとかなり有利になる。
カーボンでものを作るときの基本となるのが下図のプリプレグと呼ばれるもので、
これはカーボンの繊維(カーボンの糸)を樹脂(接着剤)で固めて、布状にしたものである。
カーボンの繊維はとても強くて、この布を繊維方向に引っ張って引きちぎろうとしても
そう簡単には引きちぎれない。しかし、繊維と垂直方向に引っ張ると簡単に引きちぎれてしまう。
このような性質から、カーボンは
異方性材料と呼ばれる。 (つまり
力をかける方向によって強度が全然違うということ。)
ところで、鳥人間コンテストに出場する機体は、
空気抵抗を少しでも小さくするために主翼が長~くなっている。
よって主翼の中央付近にはものすごく大きな軸方向の荷重がかかっていて、
主翼の上面側では圧縮力、下の面では引っ張りの力を主翼の桁がささえている。
もうちょっと言うと、下の図を主翼の桁の中央部分と考えると、
実線方向(軸方向)にはとっても大きい力がかかっているけど、
波線方向(周方向)にかかる力はそれと比べるとかなり、かなり小さい。
そこでカーボンの異方性が有効になってくるわけで、力がかかる方向、
つまり桁の軸方向に繊維をどんどん足していくと、
軸方向には大変強度が高く、 周方向にはそれほど強くないカーボンの桁ができあがる。
同じことを金属、例えばアルミでやろうと思うと、アルミはどの方向にも同じだけの強度をもっているから、
軸方向に強くしようとしてアルミの量を増やすと、そのぶん周方向にも強くなってしまい、
この周方向の強度は
無駄になってしまう。
そしてこの無駄な強度は、無駄な重量の増加につながってしまい、
できあがった物は当然カーボンよりも重くなってしまう。
このようにカーボンを使うと思い通りの強度をもった物が、無駄な強度、重量を発生させずに、
金属よりも軽く作れてしまう。これがカーボンを使うことの最大のメリットでしょう。
(ちょっと正確でないところもありますが。)