物体が流体中を運動しているときの状態は、その物体を静止させ流体を運動させたときの状態と等しい。(下図)
翼の性能は、その断面型と平面形によって決まる。まず翼の断面型の特徴を考える。(下図)
翼のまわりの流れを詳しく調べると、翼の上面では流速が大きく、下面側では流速が小さいことがわかる。(下図)
ところで流体について、次の式が成り立つ。

ベルヌーイ(Bernoulli)の式
p : 静圧
ρ : 流体の密度
v : 流体の速度
1/2ρv^2 : 動圧
これにより流速の大きい上面側では圧力(静圧)が小さく、
流速の小さい下面側では圧力(静圧)が大きくなる。
これにより翼のまわりの圧力分布は下図のようになる。 (だいたい)
次に圧力による合力を考える。この合力は、ある作用点、大きさ、向きをもっている。(下図)

(合力を流れの方向の垂直成分と水平成分に分解する)
垂直方向の力 = 揚力(Lift)
水平方向の力 = 抵抗(Drag)
コードラインと主流方向がなす角度 α = 迎角(Angle of Attack)
合力(揚力と抗力)は、動圧(1/2ρv^2)と翼面積S(翼断面でなく翼平面)に比例するので、
揚力と抗力は次のようにあらわせる。

C_L : 揚力係数
C_D : 抗力係数
(ともに無次元量)
C_L,C_Dは翼断面形を変えれば当然変わるが、むしろ流れに対する翼の傾き(迎角)に大きく左右される。
また、この傾きに対するC_L,C_Dの変化はほとんどの翼断面形に対して同じような傾向を示す。

揚力線図

抗力線図
C_Lは、零揚力角から失速近くまでほとんど直線的に変化する。また、この間、 C_Dはあまり変化しない。
αが失速角近くまで増えると、C_Lの変化は次第に小さくなり、
ある点でC_L 最大となる。それ以後はαを増すとC_Lが急激に減少する。
このC_L最大の時を失速状態(stall)という。また、この時の迎角を失速迎角という。
一方、C_Dは失速状態となると急速に増加する。
失速とは下図のように、流れが翼のまわりからはがれてしまった状態のことをいう。
翼に働く力をもう一度考える。翼に働く力は迎角の変化によって、
力の作用点、向き、大きさがすべて変わる。(下図)
この力の作用点のことを、風圧中心という。とくに作用点が変化すると力の取り扱いが難しくなるので、
翼断面のある一点に注目して、その点に作用する力を考える。
この場合、この点が力の作用点と異なる場合には、
この点には力の他にモーメントというものを考慮する必要がある。(下図)
A点にFという力が働くということは、B点にFという力を加え、
さらに、 M=FLというモーメントを加えることと同じである。
翼の場合もある点を考え、その点に作用する力とモーメントを考える必要がある。
ここで、力については今までと同じ考え方でよい(揚力と抗力)。
迎角を変えると力の作用点、大きさ、向きの全てが変わるので、当然モーメントも変化する。
モーメントについても揚力や抗力と同じように、次のようにあらわせる。

C_M : 縦揺れモーメント係数
C : コード長
この時一般には迎角を変化させると、M、すなわちC_Mが変化するが、
ほとんどの翼には迎角が変化してもC_Mが変化しない点がある。この点を空力中心という。
QX-05の場合は25%コード、すなわちスパーの通っているところがこの点にあたるので、
迎角が変化してもモーメントの変化はほとんどない。